和気たけしの主張


政令市移行五年目の実感

 政令市に移行し5年目を迎えようとしているが、「政令市になって何が良くなかったのか分からない」といった声が市民の間から聞こえる。「町名の前に区の名称を余分に書き加えることだけではないか」という辛口の意見さえある。政令市を目指した目的を改めて問わなければならない。
 そもそも、県並みの権限が与えられ、国と直接交渉ができることで、より密接に市民の要望に添い、しかも迅速な行政運営ができるという事であった。しかし、残念ながらこういったメリットを生かした施策が行われているとは言えない。
 その大きな原因は、緊縮財政の方針にあるといってよい。職員は経費削減ばかりに目が行き、積極的に仕事ができない、あるいは、やろうとすれば予算を獲得しなければならないわけだが、叱られてまではやろうとしない、といったことが組織全体に起きているのではないかと危惧する。
 高谷市長は就任以来、行財政改革を強力に推進してきた。この事を評価しないわけではないが、緊縮財政の方針が過度に行き過ぎるのはどうか。
 厳しい財政状況は百も承知だが、そうした中でも知恵を絞り、政令都市移行が感じられる施策を打ち出す必要があるのではないか。



飛躍のチャンスを生かせない岡山市政

 過去、岡山市には飛躍・発展のチャンスが幾度かあった。
 最も大きなチャンスは昭和47年山陽新幹線岡山駅開業時である。博多延伸までの3年間終着駅だったが、この間有効な事業も投資も行わなかった。
 次は瀬戸大橋が開通し、高速道路網が整ったとき、ただ単に交通の結節点という言葉が飛び交っただけで終わった。
 今回の政令市移行は、岡山市にとって最後のチャンスといってよい。



林原跡地とコンベンション構想

 今更言うのも適切ではないが、林原の所有していた岡山駅前の一等地が売りに出された。当初、岡山市は全く関心を示さなかった。
 その後、イオンモールが所有することに決まり、急遽、当該土地の一部にコンベンション施設等を整備する構想を持ち出し、土地の一部を分割して譲渡することや、建物の一部に権利を設定することについて協力を要請したものの断られた。
 そもそも、目的を持って取得した相手に、土地の分割譲渡を要請しても上手く行くとは思わない。なぜ、市が全部買い取り、市のまちづくりに照らし、主体的な立場で民間に活用させることを考えなかったのか。返す返すも残念でならない。
 にもかかわらず、にわか仕立てに打ち出した三千人規模のコンベンション計画にはこだわり、政令市としての目玉事業にするため計画は進めるつもりだという。全てが後手、後手に回っている。
 先般、岡山駅西口の線路沿いで幅が30メートルほどの場所に民間の再開発事業計画が公表された。市は、その建物の一部にコンベンション施設を設けることを検討するという。詳細な事業内容は不明だが、明らかに林原跡地の優位性には及ばない場所だと言える。
 今後、林原跡地のような有利な話はすぐにはないだろうから、急いで無理をしてまでコンベンションを作る必要はないのではないか。



操車場跡地計画に必要な大胆な発想

さて、岡山操車場跡地だが、この度、跡地の整備基本計画の素案をまとめ、各地区で説明会を開き、市民意見の募集を行ったところである。
 約12ヘクタールの広大な跡地は、改めて言うまでもなくチボリ公園計画で取得した土地である。以来、長く放置されたままであったが、近年、周辺の整備とともに一部分に岡山ドーム、JR北長瀬駅ができるなど、暫定利用の形ではあるが、有効に利用され、多くの市民に愛され親しまれている。
 しかし、依然として建設公社所有の土地であり岡山市のものではない。この事が問題なのだ。その間の利子負担を考えれば事業化し、岡山市の財産にする必要があるのは当然のことだ。
 そして、この広大な土地の有効な利用・活用こそが、政令市岡山の未来を形づくるのであり、それにふさわしい事業展開をしなければならない。
 例えば、岡山市本庁舎は、耐用年数もさることながら、耐震構造にもなっていない。防災の中心拠点の機能を担って行かなければならないとすれば建て替えは必至であり、県庁を含め、これほどの適地は他にあるまい。
 確かに、公園事業目的で取得した土地であるが、公園という縛りを外して考えれば、政令都市岡山の将来を見据え有効な土地利用はいくらでも考えられる。
 少なくとも安易に、広く使える土地にわざわざ、せせらぎをつくり、盛り土をして丘をつくるなど、誰も望まない計画は進めるべきでない。
 岡山市本庁舎建て替えを含め、今こそ有効な利用を真剣に検討すべきである。



議会基本条例案まとまる〜〜柱は情報公開と市民参加


 岡山市議会に於いて、議会自らが議会改革に意欲を燃やし、あるべき姿をそれぞれの議員が模索し、定数削減、報酬削減など市民の声に積極的に応えようとしている。その動きは他都市の議会に比べ、決して劣るものではなく、総じて高いものがあると自負している。
 さて、一昨年7月、議長より諮問を受け、議会改革等推進会議が立ち上がった。はからずも、私が座長を引き受けさせて頂くことになった。
 主な目的は、議会基本条例制定のためである。議会は何をしているのか、市民にとってわかりにくいという声がある。そこで、議員の役割とは何なのか、また市長と議会の関係はどうなのか等、市民に分かりやすくするための条例を作ろうということだった。
 各会派から二名を選出し、それぞれのメンバーが会派の意見を持ち寄り、熱心な議員間討議を重ねた。こうした討議は24回にも及ぶもので、それぞれの意見を尊重し時間を掛け丁寧に仕上げることができた。
 さて、この条例のポイントだが、議員間討議と政策提言、通年議会や大学との連携を見据えた議会運営、情報公開と市民参加促進施策が柱と言える。
 特に市長との関係については、代表二元制のもと対等で緊張感のある関係を構築し、議会側からの資料要求に誠実に応えて頂くよう書き込むことができた。
 その後、正式に議員発議の条例にするための手続きとして、議会運営委員会へ送られた。そして、そこで議論され、1月17日に条例案がまとまったのである。
 残念なのは、通年議会、議会報告会或いは一問一答など目玉とも言える部分に修正が加わったことである。特に、推進会議の委員で、議会運営委員会の委員を兼ねているメンバーが修正を主張するという、訳の分からない言動があったと聞く。「いい加減にしろ」と言いたい思いがあるが、正式にまとまり、前に進んだのであるから、良しとしなければなるまい。
 早速に、市民意見の募集手続きに入り、二月定例会冒頭で議決し、四月からいよいよスタートする予定である。



岡山県交通警察協助員をうけて
〜〜街頭での子供達の交通安全指導と地域の挨拶運動の実践


 今年度より、様々な理由から岡山県交通警察協助員を引き受けることになった。 ご承知の通り、この制度は、 県警が民間有志者を協助員に委嘱し、地域における交通安全活動を効果的に行おうと設けられた制度である。
 いわゆる、ボランティアとして行政等に協力し、地域における交通安全意識の高揚や、街頭での交通安全指導を積極的に推進し、交通事故死者数の減少をはじめ、安全で快適な交通環境の実現に大きく貢献しようとするものである。
 始めたばかりで、知らないことも多く、とても十分な役目を果たしているとは言えないが、可能な限り毎朝、制服姿でバイパス田中交差点に立ち、地域の保護者の方々と一緒に御南小学校児童の交通安全指導を午前7時30分から8時までの僅かな時間だが行っている。
 特に危険な場面に遭遇することがあるわけではなく、あまり役に立っているような実感はないが、安全の確保とはそういうものなのだ、立っていることこそが大切なことなのだと言い聞かせている。
 そして、警察協助員の直接の仕事ではないが、地域の挨拶運動の実践者になろうと大きな声で子供達に向かい「おはようございます」と声を掛けている。こちらの顔を見なかったりして、なかなか返事が返ってこないこともある。積極的に声を出そうとしない子供達もいるが、それでも大きな声で呼び掛けている。
 子供達の元気な挨拶が返ってくるときほど気持ちの良いことはない。こちらが元気を貰える。さわやかに一日のスタートが切れるのである。ありがたいことだ。  


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