2月定例議会

 主に新年度予算などを審議した2月定例議会が3月22日に閉会した。このところ議会と執行部との関係も微妙なところがあり、事前の段階では異論があり、多少揉めるのではないかとの見方もあったが、結果はすべての議案を承認し無事終了した。
 微妙な関係とは、コンパクトシティーの言葉の解釈からくるものだ。「コンパクトシティーとは田舎の切り捨てか」、「中心市街地の優先施策は承服できない」といった声があった。
 今議会の冒頭で、市長は「我が国は近い将来人口が減少期に入り、このままでは地方の多くの都市が消滅すると言われている中、本市においても生産年齢人口の減少による地域経済の規模縮小や、まちの賑わいの低下などが確実に起こりうる。こうした状況を鑑みて、コンパクトなまちづくりをめざした総合計画を策定する」とのことだ。
 半数を超える市町村が消滅してしまうという深刻な人口の減少化が間近に迫っている。特に周辺部の過疎化は深刻だ。次々とバス路線が廃止され、高齢者は病院や買い物に不自由な状況を強いられている。田舎暮らしもコンパクトにしなければ維持できなくなるのは当然なのだ。
 ただし、議会は圧倒的に周辺地域を代表する議員が多く、コンパクトという言葉に鋭く反応するのもやむを得ない。

 今議会の個人質問

 さて、今議会最終日に個人質問に立たせて頂いたが、その中身は、総合計画の策定に関することだ。今年、地元の大学を卒業する学生の親御さんが私に訴えられたことを絡め、持論を述べさせていただいた。
 「長男ということもあり、家を継いで欲しいとの思いで、地元の大学に進学させたのだが、地元に思うような就職先が無く、やむなく東京に出て行くことになった。そうなれば、そこで結婚し、子育てをし、ささやかな住処を構えることになるだろう。やがて、孫たちとの関係も薄くなり、岡山には帰らないだろう。帰ることになったとしても定年退職後ということだろう」と寂しそうにおっしゃり、続けて、「多くの親御さんは同じ思いをしていると思う。何とか地元に就職できるよう、雇用創出に力を入れてください。」と言われ、ただ黙ってうなずく他はなかった。
 理想のライフスタイルは人様々だが、地元に就職できれば、親や親せき、或いは学友など濃い人間関係の中で、仕事や子育てなど苦労なく暮らすことができる。こうしたライフスタイルは少子化、子育ての課題だけでなく、我が国が抱える多くの社会問題の解決に寄与することにも繋がる。

 産業振興で雇用を創出

 強い経済の基は、モノづくりに秀でることではないか。このことは、EU諸国の状況を見れば明らかだ。EUの中で経済の強い国はどこかと言えば、モノづくりに優れるドイツであり、工業が無く観光に頼るだけのギリシャは大変な経済危機に陥っているところだ。
 昭和28年、当時の三木行治岡山県知事は農業から工業中心の産業への脱皮をめざし水島工業地帯の造成に着手し、積極的に企業誘致を行い岡山県の経済を強くした。
 現在、水島臨海工業地帯は岡山県の中核的工業地帯として、県経済の圧倒的な比率を占め、全国的にも有数の巨大工業地帯となっている。そして、その功績は今なお高く評価されているところである。
 さて、我が国の工業力・技術力は間違いなく優秀である。これからもその技術を磨き世界に伍していかなければならないが、今後は、企業もそうだが政府が生産を国内にシフトさせる施策を打ち出す方向に向かうことになるだろう。
 なぜなら、わが国の企業が海外の工場で外国人を雇用していることで国内の雇用を奪っている現状に対する問題意識とともに、今後の国際状況を鑑みれば政治的なリスクの高い海外生産から国内生産にシフトしていく流れが強まり、地方に工場移転などが起こると思うからである。そうなれば、都市間で企業誘致競争が起きることになる。その準備を今から整えておくべきだ。

 都市計画法の柔軟な運用

 さる2月9、10日、岡山県内のものづくりの技術をPRする「おかやまテクノロジー展」がコンベックス岡山で開催された。
 自動車や電子機器部品、医療器具製造など、地場や県内に製造拠点を持つ143社・団体が出展、このうち岡山市内の企業は50社。いずれも世界で活躍できる技術を持つ優秀な企業だ。
 予想以上の盛況ぶりと、岡山県内企業の技術力の高さに驚いた。同時に、地方自治体が何をすべきなのか考えさせられた。
 優れた技術を持つ地元の中小企業が創業の地である岡山市内で事業拡大を図ろうとしても、「敷地拡張は難しく、新たな土地も無い。場所を求めて市外や県外に出ざるを得ない。都市計画法の運用はどうにかならないのか」という嘆きも耳にした。
 こうした優れた中小企業は大きな財産である。新たな企業誘致も大切なことだが、 現在頑張っている優良な市内企業の育成はさらに重要だ。もしも市外へ移転すれば、税収を失うと同時に雇用も失うことになる。本市にとっての損失は大きい。
 つまるところ、都市計画法の調整区域での開発行為を法の趣旨を逸脱することなく、農業とのバランスを取りながら中四国の雄都として存在し続けるよう柔軟な運用を行うべきである。




                                          市政報告36号-2へ
inserted by FC2 system