今年の夏はことのほか暑く、夏休みに入る前から連日35度を超える日が続き、熱中症で救急搬送された人が多かったようです。
 更に、7月6日の西日本を襲った記録的な豪雨により、晴れの国と言われ、災害の少ないことを売りにしていた岡山県も大きな被害に見舞われ、多数の命が奪われました。心からご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。





  災害の少ない岡山の危機

 災害の少ないと言われる岡山でこのようなことが起きるとは、多くの人にとって想定外であったように思う。それだけに、これだけの死者が出たのは日頃の備えや心構えにいささかの隙があったのかもしれない。
 私事だが、真備町に住んでいる高校時代の友人が、濁流に飲み込まれ命を落とした。逃げ遅れた女性を助けるために出かけたとのことであった。「名誉の死」だったと思っている。男気のあるいい奴であっただけに残念でならない。
 いずれにしても、家が崩壊したり床上浸水するなどで、畳はもとより使えなくなった家電や家具などの片付けが酷暑の中で延々と続く。精神的にも肉体的にも厳しいものがあると思うが、強い気持ちで乗り切られ、一日も早く日常を取り戻されるようお祈り申し上げます。
 特に、真備町の被災状況は甚大で連日テレビに映し出される。同じように被災した地域は他にもあるが、メディアの影響力は大きく、「倉敷の真備町は大変だったね」と多くの人からご心配を頂く。だが、岡山市においても、直接の死者こそ出ていないものの、床上浸水家屋が多数ある等、大きな被害に見舞われているだけに少し複雑な思いだ。


  岡山市内の被害状況

 東区では砂川の堤防が決壊し、平島地区を中心に床上・床下浸水などの大きな被害が発生した。 被害家屋の数で言えば、真備町に匹敵する。
 また、北区では御津国ケ原でも旭川の堤防が決壊し浸水地域が広範囲に及び、同じような被害が生じている。これらの事例はあまり知られてはいない。従って、ボランティアの数も少なく、片付けが思うように進まなかったのが実態だ。
 他にも津高や高松・足守において土砂災害が数多く発生している。その中で、大きなため池の決壊を寸前でくい止めた、地元消防団など関係者の懸命の活動は高く評価されるべきものだ。
 私の地元である笹ヶ瀬川流域においても、氾濫の恐れがある危険な状況ということで避難指示が出された。幸いにも、笹ヶ瀬川の堤防が決壊する事態にはならなかったが、笹ヶ瀬川右岸の今保、久米、白石、花尻地区などは広範囲にわたり内水が上昇し、一面まるで海のような信じがたい光景となった。
 こうした被害を目のあたりにすると、岡山の防災対策は、浸水被害をあまり考慮に入れたものになっていないと言わざるを得ない。避難場所一つとっても、耐震改修が済んでいるということから小中学校の体育館一辺倒であるが、水害には適切な場所ではない所も多い。周辺が浸水し、そこまで辿り着けなかったりする。


  排水ポンプの必要性

 「笹ヶ瀬川を挟んで光景が全く違った。一方は一面水浸し、橋を渡れば全くの平常」、「和氣さんは自分の所は浸からないようにポンプを付けているが、我々はほったらかしなのか」と何人にも厳しく責められた。地元を代表する議員として、こうした被害を身近に体験し胸が痛む。
 そもそも、左岸側(東側)にポンプが設置されたのはそれなりのいきさつがある。
 かねてから、笹ヶ瀬川流域では、昭和47年7月、昭和51年9月、昭和60年6月の洪水などで、流下能力不足による越水被害や内水被害が主に左岸側に発生していた。
 これを受け、ポンプ場設置の要望の高まりがあり、実現に向け奮闘した結果、平成22年に田中、引き続き北長瀬にポンプ場が設置されたのである。大雨ごとに床下浸水の危機にさらされていたのであり、こうした事態を避けるためポンプの設置を実現させたものである。
 従って、今回大きな被害の出た右岸側(西側)地域を守るため、排水ポンプを設置しなければならないのは当然である。地域をあげて、その実現に全力を尽くして参らなければならない。私はその先頭に立ち地域住民の切なる願いに応えて参る所存です。
 もう一つ、対策の遅ればかりが指摘されるが、岡山県において、これまでの浸水被害を防止するため、昭和63年から中小の河川改修を始めた。だが、そのスピードが遅く、地元の思いに全く応えていなかったので、早急な対応を強く要望した。
 その甲斐あって、平成20年度からは足守川合流点〜白石橋区間において築堤等の整備を行い、順次下流に向けて工事が急速に進んだ。この豪雨災害に間に合ったのは幸運だったと言える。この工事が完成していなかったら今回の被害どころではなかったはずだ。岡山県当局関係者に感謝申し上げたい。





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