令和4年を振り返って

 令和4年は引き続きコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナへの侵攻という非常事態に揺さぶられ、様々な制約を余儀なくされ、重苦しい一年だったと思う。
 資源エネルギーなどのサプライチェーンが崩壊し、我が国をはじめ多くの国々が日常生活に大きな影響を及ぼす事態に陥っている。食糧品、燃料、原料等の値上がりが激しくなり、社会や家庭を直撃しているのである。本市においても子育て世帯への支援、高騰する食料や燃料など多くの課題への対応を迫られた。
 このような中、11月定例議会では当然ながら、これらの課題に対して活発な議論が交わされた。特に、貧困家庭に対する子育て支援、児童虐待、不登校など子育て・教育に関しての質問が目立った。また、医療体制や農業基盤の整備、過疎に苦しむ周辺地区など、多くの課題が明らかになり、それに対する議論も活発に行われたところであった。
 一方、社会活動に回復の動きが見えてきている。秋には岡山芸術交流と瀬戸内芸術祭の開催、岡山城がリニューアルオープン。また、3年ぶりの岡山マラソン、装いを新たにした「ハレまち通り」での歩行者天国など、多くの市民が参加し、明るい話題も増えたと言えるのではないか。
さらに、令和5年9月にオープン予定の岡山芸術創造劇場「ハレノワ」の完工引き渡しがあったが、出来栄えが素晴らしく、様々な舞台芸術に対応できるものとなっている。中四国を代表する劇場と言える。令和5年は、コロナ禍を克服し、社会活動が活力を取り戻し、コロナ前を上回るところまで回復して欲しいと願っている。
 何はともあれ新しい年が皆様方にとって良い年となるようご祈念申し上げますとともに、議会に対しご関心を賜りますようどうぞよろしくお願いいたします。



 児童虐待の防止

 令和4年1月に発生した児童虐待死亡事件について、外部有識者で構成された児童福祉審議会での検証を受け、10月に報告書が提出された。
 これを受けて、議会では市の対応・事件に関する認識、体制強化等の再発防止策、DVとの関連の認識など、多くの質疑が交わされた。報告書では、必要な情報が得られていなかったことや、的確な判断ができていなかったのではないかとの指摘があった。それぞれの時点で適切な対応ができていれば少し違った結果になったのではないかと思うと残念でならない。
 この報告書を真剣に検討し、組織、人員などの体制、また、運用や外部との連携等あらゆる点について見直しを行ってもらいたい。そして2度とこのような悲惨な事件を起こしてはならないという強い気持ちで取り組んでいただきたい。加害男性からのDVについては報告書で触れられていないが、虐待の影にはしばしばDVがある。この点を十分に認識し、過去の事例を踏まえ適切に対応してもらいたい。



 不登校対策の充実

 コロナ禍の影響もあって不登校児童は全国的に増加し、岡山市でも1,200人を超えている。深刻な状況だととらえ、真摯に対策を取るよう求めるとともに、国が設置拡大に取り組んでいる不登校特例校への見解を求める質問が複数の議員からあった。また懸案となっていた教育研究研修センターの設置場所は北区富吉と発表された。
 不登校対策は重要な喫緊の課題であり、早急に対応する必要がある。子供たちが学校に行きたくても行けない状況をおざなりにしてはならない。その原因も多種多様で簡単に答えが導き出せる問題ではないことは承知しているが、あらゆる手段を講じて子供たちを救っていかなければならない。
 ICTの活用や民間のフリースクールとの連携、廃校や空き教室の活用など様々な意見や提案が議員側からあった。まずは、居場所を確保することに取り組むべきなのではないかということだ。従来の取り組みの前進や、新たな取り組みの模索など積極的にこの問題に取り組んでもらいたい。
 なかでも、不登校特例校に寄せる関心は議会の中では高い。設置したからといって直ちに解決するような簡単な問題ではなかろうと、当局はすぐ設置する考えはないようだが、少なくとも研究や検討は意欲的に行ってもらいたい。
 また、教育研究研修センターには、岡山市の義務教育の再生に向けて大きな期待が向けられている。特に不登校対策、いじめ問題の解決に成果を上げて欲しいものだ。また、修学前の子供と小学校をスムーズにつなぐことが重要視されているが、是非ともその役割も担ってもらいたい。



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